北側隣家への日照を考慮して「北側斜線」というのがある。水平距離1に対して高さ1.25の勾配の斜線制限を要求され、角度になおすと約50度。RC造の住宅の北側外壁の勾配を北側斜線と平行におさめ、樹脂防水の上に防水塗装を施したところ、10年ほどで防水性能が落ち、雨漏れが始まり、結局、カラーステンレス葺きに改修した。
斜めになる外壁は、<屋根>と考えるべきであった。RC造の建物の外壁で、垂直な所と斜めになる所があると、つい急勾配だから防水仕様の外壁にしておけば大丈夫だろうと考えがちであるが、これは大間違いだった。
平らな床の防水に使う樹脂防水を斜めの外壁に使うのは、理屈のうえでは間違いないように思えるが、やはりダメだめだったようだ。なぜなら、町中でおなじような改修工事をしているRC造の建物をよく見かけるからである。また、斜めの外壁が無惨に劣化しているケースや、ひんぱんに塗装をやり直している例も見かける。今では、「外壁が斜めになったら、そこは屋根」と考えるようにしている。